『火車』(宮部みゆき)が好きな人の読書 話題作込み
「事件の裏側にある、誰かの生活の細部を読む人」
『火車』を愛する人が惹かれているのは、事件そのものより、そこに至るまでの生活の細部だと思います。カード、借金、住民票、勤め先──匿名の書類の束から一人の人間の輪郭を立ち上げていく手つき。そして、追う側が対象へ次第に静かな敬意と痛みを抱いていく距離感。社会の仕組みが個人の人生を静かに削っていく構造への関心と、それでもなお人を突き放さない語りの温度。この両方を求める読者だと感じます。
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編集後記
消費者金融や多重債務を題材にした、社会派ミステリの傑作。
30年以上前に書かれた小説で、現在とは制度が異なる部分も多いものの、当時の金融制度や社会の空気が作中で丁寧に描かれているため、その時代を知らなくても無理なく読み進められます。
新潮文庫版で704ページというボリュームですが、続きが気になり、あっという間に読み進めてしまいました。何より、終わり方が秀逸です。