『イン・ザ・メガチャーチ』(朝井リョウ)が好きな人の読書 話題作込み

「善意と同調のあいだの居心地の悪さを味わう人」

この本を手に取る人は、人が何かを信じて集まるときに生まれる熱と、その熱の外側に立つ人の居心地の悪さを、両方から眺めたいのだと思います。誰かを断罪して終わらせず、正しさや善意の内側にある自己保存の気配まで書いてしまう筆致に惹かれる。会話や語りの温度は軽やかなのに、読み終えると自分の言動を点検したくなる——そんな居心地の悪さごと物語を味わえる読者が向いています。また、現代の言葉や空気を的確にすくう同時代性への信頼も、この作品を選ぶ動機のひとつでしょう。

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『星の子』の書影

01

星の子

今村夏子 ・ 2017年

両親が信じるものと共に育った少女の、日常の目線から語られる物語。信じる側の内側にある穏やかさと、外から向けられる視線の温度差を、静かな語りで描きます。共同体と個をめぐる軸に応える一冊です。

単行本

『信仰』の書影

02

信仰

村田沙耶香 ・ 2022年

「原価いくら?」と問う人の話から始まる短編集。何を本物とみなすか、その基準は誰が決めたのかを、乾いた語り口で執拗に掘り下げます。正しさの根拠を疑い続ける読み心地が近い作品です。

文庫単行本

『おいしいごはんが食べられますように』の書影

03

おいしいごはんが食べられますように

高瀬隼子 ・ 2022年

職場という小さな集団の中で、誰が優しく扱われ誰が扱われないかを、食事という日常の場面から捉えた物語。善意の顔をした力関係を書く精度が、現代の空気を刺す筆致と響き合います。

単行本文庫

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