『告白』(湊かなえ)が好きな人の読書 話題作込み

「冷静な語りの奥に潜む悪意を測る読者」

『告白』を手放せない人が惹かれているのは、たぶん複数の要素です。ひとつは、独白の声だけで人物の内側が剥き出しになっていく語りの生々しさ。ひとつは、学校という閉じた場で正義や善意が歪んで機能してしまう不気味さ。そしてもうひとつは、誰を悪と呼べるのかが最後まで定まらない倫理の居心地の悪さ。冷静な文章で語られるほど怖い、という温度差に反応してしまうタイプの読者だと思います。作りの緻密さそのものを味わう志向も強いはずです。

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『ユリゴコロ』の書影

01

ユリゴコロ

沼田まほかる ・ 2011年

実家の片づけ中に見つかった、誰かの手記。そこには不穏な記述が並んでいます。独白の声が人の輪郭を裏返していく感触が好きな人へ。情緒は重く粘りますが、文章の静けさは崩れません。

文庫

『Aではない君と』の書影

02

Aではない君と

薬丸岳 ・ 2015年

離れて暮らす息子が事件の当事者となり、父親が呼び出される場面から始まります。少年と罪と責任の所在を問い続ける一冊。誰を裁けるのかという居心地の悪さに向き合いたい読者に。

文庫

『希望が死んだ夜に』の書影

03

希望が死んだ夜に

天祢涼 ・ 2017年

十四歳の少女が同級生の死をめぐり供述を拒む、その取り調べから始まります。貧困と学校が少女たちを追い詰める構造を、刑事の目線で淡々と辿る筆致。閉じた場の冷たさを味わいたい人へ。

文庫

編集後記

湊かなえさんのデビュー作であり、代表作の一つ。第6回本屋大賞受賞作でもあります。

松たか子さん主演で映画化されたこともあり、タイトルだけでも聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

私は映画の予告編を見て内容が気になり、小説を読みました。登場人物はみんなどこか危うさを抱えているように感じられ、読後も結末についていろいろと考えさせられました。

「イヤミス」というジャンルを広く知らしめた作品の一つでもあり、デビュー作でこれだけ大きな反響を呼んだことにも、今更ながら驚かされます。

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